公正証書作成のメリット・作成上の注意点

今回は、債権回収における、①契約書を公正証書で作成するメリット、②公正証書を作成する上での注意点を説明したいと思います。

1 公正証書を作成するメリット

契約書を公正証書で作成する最も大きなメリットは、訴訟手続等を経ることなく債務者の財産に強制執行できる点にあります。

本来、支払いを怠っている債務者の財産に強制執行するには、①裁判所に訴訟提起をして、債務者に対する支払いを命じる判決等を得た上で、②その確定判決等を基に債務者の財産に対する強制執行の申立てをしないといけません。この訴訟手続は、数か月から場合によっては年単位での間がかかることもありますし、費用等かかります。

もっとも、契約書を公正証書で作成しておくと、このような時間・費用のかかる訴訟手続を飛ばして、直接、公正証書に基づいて、強制執行の申立てをすることができるのです。これは債権回収にあたって大きなメリットといえます。

2 作成上の注意点

契約書を公正証書で作成する上で最も注意しないといけない点は、「強制執行受諾文言」を盛り込むことです。

強制執行受諾文言とは、債務者が金銭債務を履行しない場合、直ちに強制執行に服することを承諾するという条項です。これがないと、訴訟を経ることなく直接強制執行を申し立てることはできないので、注意が必要です。

また、公正証書は、一般に、①あらかじめ文案を作成して、公証人と内容等の打ち合わせをし、②契約当事者双方が公証役場に出頭して、内容確認の上、署名・押印するといった流れで作成されます。先ほど説明したように、公正証書は、場合によっては直接強制執行できる等非常に強力ですので、違法な内容でないか公証人が細かくチェックするとともに、勝手に作成されないよう当事者双方の出頭及び本人確認が必要となるのです。

弁護士に公正証書の作成手続を依頼すれば、手落ちのない内容の公正証書の文案が作成でき、かつ、公証人との打ち合わせや出頭を弁護士が代理することができます。公正証書の作成をお考えでしたら、一度、弁護士にご相談されてもいいかもしれません。

この記事は弁護士が監修しております。

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