前回は,相続人の不存在という概念について説明しました。
今回からは,相続人が不存在である場合の手続きの流れを説明します。
(1)相続財産法人の成立
相続人のあることが明らかでない場合,相続財産は法人となります。
これを,相続財産法人といいます。
(2)相続財産管理人の選任及び公告
相続財産法人が成立すると,家庭裁判所は,利害関係人または検察官の請求により,相続財産を管理する者を選任します(民法952条1項)。
このとき,家庭裁判所に管理者として選任された者を,相続財産管理人といいます。
相続財産管理人が選任されると,家庭裁判所は,遅滞なくこれを公告します(民法952条2項)。
こうした手続の途中で相続人の存在が判明した場合,相続財産は相続人に帰属します(民法896条)。
この場合,相続財産は,相続開始時にさかのぼって相続人に帰属していたこととなります。
その結果,相続財産法人もまた,相続開始時にさかのぼって存在しなかったこととなります。
これを相続財産法人の不存在といいます。
次回は,手続の途中で相続人の存在が明らかにならなかったことを前提に,公告後の手続の流れを説明します。