こんな遺言でもだいじょうぶ?①

(1)自筆証書遺言の有効要件

用語集「遺言について」の記事にあるように,自筆証書遺言が有効となるためには,遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自書し,押印する必要があります(民法968条1項)。

これは,遺言者の自筆と押印を要求することで,筆跡等により,遺言を作成したのが遺言者本人であることを明らかにするためです。

 

 

(2)こんな「日付」の書き方は?

遺言書に「平成26年3月2日」との記載があれば,これは,文句なく「日付」です。それでは,「還暦の日に」という書き方はどうでしょうか?

一見すると,年月日がまったく書かれておらず,「日付」が特定されていないようにも思えます。

しかし,このような記載であれば,遺言者が還暦を迎えた日に遺言書を作成したことが明らかです。

したがって,この遺言書には,「日付」の記載があるものと扱われます。

他方,「平成26年3月吉日」という記載は,平成26年3月の何日かが明らかとなりません。このような記載をすると,「日付」の記載を欠く無効な遺言書として扱われてしまいます(最判昭和54年5月31日参照)。

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 河本智子(第二東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 片野田志朗(第二東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 藤原寿人(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 山岸丈朗(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 関智之(東京弁護士会所属)