こんな遺言でもだいじょうぶ?②

(1)前回の復習

「こんな遺言でもだいじょうぶ?①」にも記載しましたが,自筆証書遺言が有効となるためには,遺言者が遺言書の全文・日付・氏名を自書し,押印しなければなりません(民法968条1項)。

 

(2)こんな「氏名」の書き方は?

遺言者が自分の本名を遺言書に書いた場合,その遺言書には,間違いなく「氏名」の自署があります。

たとえば,山田太郎さんが,遺言書に「遺言者 山田太郎」と記載した場合です。さて,山田太郎さんがタローという芸名を持つ芸能人だったとします。

タローは,芸能界で何十年も活躍しており,日本人なら誰もが顔も本名も知っている芸能人です。

山田太郎さんが,遺言書に「遺言者 タロー」と記載した場合はどうでしょうか?

大事な遺言書に芸名を書くなんてとんでもない,と思われるかもしれません。

しかし,今回のケースでは,「タロー」が山田太郎であることは誰もが知っており,「遺言者 タロー」と書かれた遺言書の作成者が「タローこと山田太郎」であることが明らかです。

したがって,このような自筆証書遺言も,「氏名」の記載のある有効なものとして扱われます。

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
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