(1)民法897条1項
民法897条1項は,「系譜,祭具及び墳墓の所有権は,前条の規定にかかわらず,慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。ただし,被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは,その者がこれを承継する。」と定めており,祭祀財産が相続財産から除外されることを規定しています。
これは,日本においては,一族のうち特定の人がご先祖様を祀るための施設等を受け継ぐことが多く,このような財産は,土地やお金のように相続人全員で分けるものでないという考え方に基づく規定です。
(2)具体例
系譜とは,家系図のように,その一族の系統を示すものをいいます。
祭具とは,仏壇や位牌など,祭祀や礼拝に使用するものをいいます。
墳墓とは,直接的には墓石や墓碑をいいますが,墓地そのものの所有権や墓地の使用権なども含まれます。
家系図や墓石など,どれも相続人みんなで平等に分けるという考えになじまないものばかりですね。