前回,被相続人が現実に死亡した場合のほか,被相続人が失踪宣告を受け,死亡したものとみなされた場合にも相続が開始することを説明しました。
今回は,失踪宣告の制度の概要について説明します。
失踪宣告とは,不在者の生死不明状態が一定期間継続している場合に,家庭裁判所の審判により,不在者を死亡したものと扱う制度をいいます。
例えば,不在者の子が不在者の財産を相続したいと考えたとします。
相続は,被相続人の死亡により開始されますので,不在者の生死が不明である以上,当然に相続が開始するものではありません。
しかしながら,不在者の生死の確認が取れない間は不在者を生存者として扱うとすると,不在者の相続人がいつまでたっても不在者の財産を相続できないなど,不在者の親族等の利害関係人に不利益を及ぼすこともあります。
このように,失踪宣告は,不在者がそれまで暮らしていた地域を中心とする法律関係を清算して,利害関係人の利益を保護するために認められた制度です。
次回は,失踪宣告にはどのような種類があるかについて説明します。