前回,被相続人が現実に死亡した場合の他,失踪宣告を受けて死亡したものとみなされた場合にも,相続が開始することを説明しました。
今回は,失踪にはどのような種類があるかについて説明します。
失踪には,特別失踪と普通失踪とがあります。
特別失踪とは,失踪者が戦地へ臨む等,死亡の原因となる危難に遭遇して生死不明となった状態をいいます(民法30条2項)。
失踪者が生死不明になったからといって直ちに失踪宣告を受けられるわけではありません。
特別失踪により失踪宣告を受けるには,戦地に臨んだ者については戦争が止んだ後,沈没した船舶の中にあった者については船舶が沈没した後,その他の危難に遭遇した者については危難が去った後1年間生死不明となった場合にのみ,失踪宣告を受けることができます。
普通失踪とは,特別失踪以外の失踪をいいます。
普通失踪の場合,失踪者の生死が7年間明らかでない場合に,失踪宣告を受けることができます。
次回は,失踪宣告を受けるための手続について説明します。