空き家をめぐる税制
1.空き家問題
日本全国で空き家が増えており、社会問題となっております。管理がなされていない空き家は、景観が悪くなるだけでなく、ゴミの不法投棄のたまり場になったり、放火や不法侵入など犯罪の温床になる懸念があるほか、地震などの災害が発生した場合に倒壊するといった問題を生じさせるおそれがあります。
2.空き家の増加理由
個人住宅が空き家となる最大の理由は、親所有の住宅を相続したことによるものであると言われています。なお、空き家を取り壊して更地にすると固定資産税が高額になるので、住宅をそのままにするという指摘もありますが、住宅を取り壊せば建物の固定資産税がかからなくなるので、必ずしも正しい指摘ではありません。
3.相続した空き家を売却した場合の特例
(1)3000万円の特別控除
空き家の放置を減らすため、平成28年4月から、相続した空き家を売却した場合の所得税の特例制度が設けられました。下記の要件を充たせば、譲渡所得から3000万円まで特別控除を受けることが可能です。
- 昭和56年5月までに建てられた一戸建て
- 亡くなった人が一人暮らしをしていた自宅
- 相続発生以降、住んだり、貸したり、事業をしたりしていない
- 相続発生の3年後の年末までに売却する
- 建物を解体するか、新耐震基準を満たすよう改修して売る
- 譲渡価額が1億円以下
(2)取得費加算の特例
(1)とは併用できない制度として、相続した財産を売却する場合に、課税された相続税を取得費に加算できる特例があります。多額の相続税を納付した場合には、(1)よりもこちらの特例を適用した方が有利となることがあります。相続に強い弁護士や税理士に相談されることをお勧めします。