花押と自筆証書遺言の押印

最高裁第二小法廷は、平成28年6月3日判決(判タ№1428・31頁)において、花押を書くことは自筆証書遺言の押印の要件を満たさない、と判断しました。

遺言には、遺言者の真意を確保するために厳格な方式が要求されており、自筆証書遺言には「印を押さなければならない。」(民法968条1項)と規定されております。そして、「印」とは、実印である必要はなく、また指印でもよいとする判例もあります。

本件で問題となったのは、花押(署名の下に書く判)を書くことです。本判決に対しては、花押は、押印のような再現性はなく、個人を特定する機能が高いとはいえないのであるから、花押を指印と同等のものと見ることはできないと解説されています。

自筆証書遺言の作成等をご検討されている場合には、民法に厳格な方式が定められておりますので、当事務所にご相談ください。

この記事は弁護士が監修しております。

東京中央総合法律事務所 弁護士 河本憲寿(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 河本智子(第二東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 片野田志朗(第二東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 藤原寿人(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 山岸丈朗(東京弁護士会所属)
東京中央総合法律事務所 弁護士 関智之(東京弁護士会所属)